なんとなくパラレルやったって全然伝わらないんじゃないかとか、元ネタの原形もとどめてないとか、ぐたぐた考えてみたのですが振り返ったところどう考えても、ちゃんと二次創作してるほうが稀だということに気づいたり、所詮自己満足だしいいのかな…とか思えてきたので懲りずに某学園パラレル小話を投下してみます。
今回は(というか今回も)主人公と教頭先生です。
一期アニメ見てたらこの二人に可能性を見出してしまったのこと。
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今回は(というか今回も)主人公と教頭先生です。
一期アニメ見てたらこの二人に可能性を見出してしまったのこと。
ふたりでチェスやってます。でも、書いてるのがルールあんまり分かってない人なので、おかしなところがあると思います。あらかじめご了承ください…。
チェックまでの手数を反芻する。
一見するとこちらが不利な形勢。盤面を凝視する傍らそっと対面をうかがうと、いつもの柔和な笑みが浮かんでいる。
じりじりと追い詰められているこの状況を、この人はまだ気づいていないだろうか。
それとも、いつものように鮮やかな手際ですり抜けてしまうのだろうか。
じっとりと汗の張り付く手で慎重に、しかし此方の気負いを見抜かれないように殊更に無造作に駒を動かす。
あと少し…。窮地に立たされる状況よりも、この密やかに追い詰める今のほうが余程心臓に堪えるのだと知った。
いまや鼓動が向かい合って座る彼に届くのではないかというほどに、大きく脈打っている。
そうでなくても医学に精通しており、人の体調変化に聡い相手なのだ。
盤上の駆け引きならいざ知らず、こんなばかげた動揺で今まで積み上げてきた手数を無駄にするわけにはいかない。
深呼吸をため息に誤魔化して、大きく反らせた体を椅子に預けた。
そうするとうつむく相手のうなじが否応なく視界に飛び込んできて、なんとなくこそばゆい気持ちになる。
――そういえば、あの賭けの効力はまだあるのだろうか
勝負の常套文句というべきそれを思い起こす。
オレが勝ったら、ひとついうこと聞いてもらうというのは、何度挑んでも勝てない自分に、目の前の男が気まぐれに持ちかけた提案だったのだが。
搦め手の緊張もどこ吹く風、条件を提示した元凶はその指を淀みなく盤面に滑らせる。
伏せられた此方の匕首を殺すことなく移動する駒の軌跡を、祈るような気持ちで追った。そして、駒から離れ行く手を見届けて、心の内で拳を握り締める。
機は熟した。
この手が放つ兵士の一刀は確実に相手の王の退路を断つだろう。
「チェックメイト!」
高らかに宣言した声に、穏やかな目がうなずいた。
「腕を上げたね。さすがにこのポーンの動きには気づかなかったよ」
敗戦を喫したというのに、どこか晴れ晴れとした風にも見える相手と、未だガチガチに固まってしまっている自分の状況を鑑みるに、なにやら情けなさで一杯になる。
一世一代の大勝負も、この人にとっては、教え子の成長記録の1ページでしかないのだろう。
しかし、そう思われても仕方がないのかもしれない。
望む勝利を手にしたその先を、自分はまったく想定していなかったのだから。
「さて、私は何をすればいいのかな?」
いたずらっぽく笑う姿に、ひどい絶望感を抱きながら、思い浮かぶ言葉の数々を必死で頭の中で切って捨てる。
誰にでも優しくするなとか、アイツと別れてほしいとか、あまつさえちょっと触れてみたいだとか、そうじゃなくって…そういうことじゃなくて。
「オ…っ、オレと」
「うん」
「付き合ってください!」
何を言っているのか自分でも理解不能だ。言われた相手もハトが豆鉄砲を食らったような表情である。
無理もない。唐突にもほどがある。
「…えーっと、買い物か何かかな?」
「は…?」
「お父さんにプレゼントとか」
嗚呼、よりにもよってそれかよ!と頭を抱え込みたくなったが、いやまてよと思い直す。
しばしの黙考の後、粉々に砕け散った淡い夢が、買い物イコールデートという新たな図式で再構築された。
なんだか盛大なる勘違いも内包しているが、この際気にするものか。
要は結果がすべてだ。
「是非にっ!それでお願いします!」
自分でも呆れんばかりの裏返った声が、放課後の校舎に響き渡った。
エド…ごめん(笑)。私が書くと皆あほの子になってしまうという不思議。うん、書いてる人間が馬鹿だから仕様がないですね。
またしても勝手にネタ拝借した上に、こんな残念な出来ですみませんでした。
以下、物凄くどうでもいい戯言。
主人公君は、教頭先生に恋心を抱いているというよりは、どこか憧れを持ってるというイメージで。
お母さんを早くに亡くして、兄として弟を守ることに一生懸命だった彼にとって、唯一の素直に甘えられる存在という感じです。ちなみに父親はずっと前から行方不明だったのが、この学園に入ってからふらりと放浪のたびから戻ってきたということになってます。当然折り合いが悪い、というかエドが避けてるだけというか。
なんとなく教頭先生への執着から卒業できたとき、初めて彼は父親と向き合うことができるようになるんだと思っていますが、別にそこまでこのパロで掘り下げられそうにもないので、なんとなくそんな態で見て頂けたらと。
私が傷医者好きで、あんまり泥沼な三角関係とか四角関係とかにしたくないための、苦肉の策という感じですが。
…以上、ご清聴ありがとうございました。
【閉じる】
チェックまでの手数を反芻する。
一見するとこちらが不利な形勢。盤面を凝視する傍らそっと対面をうかがうと、いつもの柔和な笑みが浮かんでいる。
じりじりと追い詰められているこの状況を、この人はまだ気づいていないだろうか。
それとも、いつものように鮮やかな手際ですり抜けてしまうのだろうか。
じっとりと汗の張り付く手で慎重に、しかし此方の気負いを見抜かれないように殊更に無造作に駒を動かす。
あと少し…。窮地に立たされる状況よりも、この密やかに追い詰める今のほうが余程心臓に堪えるのだと知った。
いまや鼓動が向かい合って座る彼に届くのではないかというほどに、大きく脈打っている。
そうでなくても医学に精通しており、人の体調変化に聡い相手なのだ。
盤上の駆け引きならいざ知らず、こんなばかげた動揺で今まで積み上げてきた手数を無駄にするわけにはいかない。
深呼吸をため息に誤魔化して、大きく反らせた体を椅子に預けた。
そうするとうつむく相手のうなじが否応なく視界に飛び込んできて、なんとなくこそばゆい気持ちになる。
――そういえば、あの賭けの効力はまだあるのだろうか
勝負の常套文句というべきそれを思い起こす。
オレが勝ったら、ひとついうこと聞いてもらうというのは、何度挑んでも勝てない自分に、目の前の男が気まぐれに持ちかけた提案だったのだが。
搦め手の緊張もどこ吹く風、条件を提示した元凶はその指を淀みなく盤面に滑らせる。
伏せられた此方の匕首を殺すことなく移動する駒の軌跡を、祈るような気持ちで追った。そして、駒から離れ行く手を見届けて、心の内で拳を握り締める。
機は熟した。
この手が放つ兵士の一刀は確実に相手の王の退路を断つだろう。
「チェックメイト!」
高らかに宣言した声に、穏やかな目がうなずいた。
「腕を上げたね。さすがにこのポーンの動きには気づかなかったよ」
敗戦を喫したというのに、どこか晴れ晴れとした風にも見える相手と、未だガチガチに固まってしまっている自分の状況を鑑みるに、なにやら情けなさで一杯になる。
一世一代の大勝負も、この人にとっては、教え子の成長記録の1ページでしかないのだろう。
しかし、そう思われても仕方がないのかもしれない。
望む勝利を手にしたその先を、自分はまったく想定していなかったのだから。
「さて、私は何をすればいいのかな?」
いたずらっぽく笑う姿に、ひどい絶望感を抱きながら、思い浮かぶ言葉の数々を必死で頭の中で切って捨てる。
誰にでも優しくするなとか、アイツと別れてほしいとか、あまつさえちょっと触れてみたいだとか、そうじゃなくって…そういうことじゃなくて。
「オ…っ、オレと」
「うん」
「付き合ってください!」
何を言っているのか自分でも理解不能だ。言われた相手もハトが豆鉄砲を食らったような表情である。
無理もない。唐突にもほどがある。
「…えーっと、買い物か何かかな?」
「は…?」
「お父さんにプレゼントとか」
嗚呼、よりにもよってそれかよ!と頭を抱え込みたくなったが、いやまてよと思い直す。
しばしの黙考の後、粉々に砕け散った淡い夢が、買い物イコールデートという新たな図式で再構築された。
なんだか盛大なる勘違いも内包しているが、この際気にするものか。
要は結果がすべてだ。
「是非にっ!それでお願いします!」
自分でも呆れんばかりの裏返った声が、放課後の校舎に響き渡った。
エド…ごめん(笑)。私が書くと皆あほの子になってしまうという不思議。うん、書いてる人間が馬鹿だから仕様がないですね。
またしても勝手にネタ拝借した上に、こんな残念な出来ですみませんでした。
以下、物凄くどうでもいい戯言。
主人公君は、教頭先生に恋心を抱いているというよりは、どこか憧れを持ってるというイメージで。
お母さんを早くに亡くして、兄として弟を守ることに一生懸命だった彼にとって、唯一の素直に甘えられる存在という感じです。ちなみに父親はずっと前から行方不明だったのが、この学園に入ってからふらりと放浪のたびから戻ってきたということになってます。当然折り合いが悪い、というかエドが避けてるだけというか。
なんとなく教頭先生への執着から卒業できたとき、初めて彼は父親と向き合うことができるようになるんだと思っていますが、別にそこまでこのパロで掘り下げられそうにもないので、なんとなくそんな態で見て頂けたらと。
私が傷医者好きで、あんまり泥沼な三角関係とか四角関係とかにしたくないための、苦肉の策という感じですが。
…以上、ご清聴ありがとうございました。
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