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日々の萌えと燃えを吐き出す文字どおり世迷言ブログ
 

 

 
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なんだかご無沙汰な感じになってますが、至って平和です。

追記からははがねの小話ですが、タイトルからして駄目な空気が漂っております。
さらに、そこから類推される内容に輪を掛けてがっかりする事請け合いな代物ですので、恒例ですが寛大なお心でもって見逃していただけることを切に願います。
本当に胸を張って残念だと言い切れるので、はい…すみません。
 

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「あんたさ、何の嫌がらせな訳?」
テーブルに片肘を付き、その上に顎をのせた姿勢で盛大に嘆息してやる。
卓を隔てたむこう側にある顔が慌てた様子で左右に振れた。
「別にそんなつもりでは…」
「だったら、何で性懲りもなくそんな珍妙なもの付けてんだよ!」
人に指を差すのは如何なものかとかそんな配慮など頭の隅に追いやって、思い切り人差し指を突きつける。
その先には、二度と見たくないと心の底から願ったあの忌まわしい獣の耳が鎮座していた。
そう、このおとぼけドクターめ、またやらかしたのだ。一部動物化というトンデモ事件を!
かつての最悪な記憶がよみがえり、またしても同様の憂き目に会うのかと思うと果てしなく気が重い。
幸いといおうか、前回の心労の片棒を担いだ男は、早朝から村の人足仕事だかで、混ぜ返し役の合成獣連中ともども出かけてしまっている。
ここに残っているのは自分と目の前の獣耳男と、そして未だ夢の中にいるであろう少女だけだった。
事が他の住人に露見する前に何とかしたいと思いつつも、その見通しが立たず頭を悩ませているのだが。そんなこちらの苦労など知りもしないであろう相手の、頭頂にある耳がのんきにひょこひょこと揺れている。
先日、この男が見事にこの異物を取り除くことに成功した瞬間は、思い出したくもないが旦那と二人で白昼堂々と秘め事を行っていたことは、壁越しの抑えた声で嫌でも認識させられていた。
お陰でこっちはいったん覚醒した意識をまた手放す羽目になったのだから。とりあえず、それはここではひとまず置いておくとして。
ひとつ明確なことは、すくなくとも今回はその時と同じ手は使えないということだ。
そんな酔狂に浸る趣味は自分にはないと断言する。
一人こぶしを握り締めたところで、ふと閃くものがあった。
「あんたもしかして、欲求不満なのか?」
どう考えてもその獣の耳は、旦那が愛してやまない小動物を模した物にしか思えない。
すなわち、相手の気を引きたいという願望が、無意識に具現化したものではないのか?
ならば、あの昼間の出来事の後、それが綺麗に無くなっていたのも説明が付く。
この我ながら見事すぎる推察は、しかし披露した端から、そうなのだろうかという疑問符で水を注されてしまった。
確かにこのドクターが故意にそんな暴挙に出るとは思っていない。しかし、少なからずお互いに憎からず思っている間柄で、なおかつ旦那は堅物が服着て歩いているような人間だ。深層心理で多少もどかしく思っても責められはしないのではないかと思う。あくまで、他人の迷惑にならないレベルで、だが。
そもそも、今更取り繕ったところで彼らの関係なぞ、此方には筒抜けなのだから、隠す理由なんぞない。こっちは知りたくもなかったのに。
とにかく持論に賛同がないことが面白くなくて、困惑させることを承知で理由を問い質すと、「私が彼を思っていることは否定しない。けれども、彼はそうではないから…」と、なんとも的の外れたことを苦し気に告げられ、開いた口がふさがらなくなった。
あんだけ、あんだけ…あんなことしておいてそれは無いんじゃないのか!?
この男も旦那もそんな生半可な同情やら一時の気の迷いだかで事に至るほど器用でも無いだろうに。でなきゃ答えの見えてる駆け引きで迷走することもない。
越えるべき障害なぞ山程あって、それでもそんな倫理観なぞかなぐり捨て、罪だの罰だのという感情的な部分やらを抱えたんまんまでも、それでも共に居たいと願ったんだろう?
だからこうして今、ここに居るんだろうに。
もしかしたら、ちゃんと告白的な儀式がないと付き合ったことにならんとかそういうことだろうか…降ってわいた空恐ろしい推論に、誰でもいいから反論して欲しいと切に願った。
…ああ、本当に鈍感ふたりを相手にするのはこんなにも疲れるものなのか。
とにかく火急に対処すべきは、彼らの恋路などではなく、どう見ても不自然な獣耳だろうと言い聞かせ、自らを鼓舞する。
もう一方は旦那の意思を確認すればじきに解決するはずだ、というかそうであって欲しいという願望だ。こんな馬鹿げた事に巻き込まれるのは今日を限りに卒業したい。
「あんた人体のスペシャリストだろ、そのふざけたもんを取る名案とかないのか?」
「それは、前回のときもいろいろと調べてみたのだが如何せん理由がわからないのでね、手の出しようも…っ」
不自然に途切れた語尾に不信感を抱くいとますら与えられずに、突然起こった衝撃的瞬間に思考が停止する。
それは、メモでも取ろうかと手にしたペンを何気なく手の中で遊ばせていたときに勃発した。
突然、テーブルを飛び越えて右手目掛けて飛んでくる物体に、回避行動を取る間もなく椅子から転げ落とされる。
痛みに腰を擦りながら体勢を立て直すと、どうやら素面に戻ったらしい獣耳男が頭の先からそれと見て取れるほどにしょ気返っていた。
「何なんだよ一体!」
「その…何故だか分からないが、そのペンを見てると、つい」
訳のわからない回答に、未だ握ったままのペンと相手を見比べて首を捻る。
とりあえず、席についてと手の中のそれで彼の座っていた場所を指すと、その軌道を耳付き頭が追いかけた。

…合点がいった。
要するに猫じゃらしなのだ。
ためしに目の前でペン先を振ってみると、やはり律儀にふらふらと追ってくる。
疑問は解決したが、かわりにどっと疲れが押し寄せてきた。
そうか、その耳は猫だったのか…じゃなくて、自分の仮説に基づくとしたら、こいつを利用すれば動物的欲求は解消されるのではなかろうか。
しかし、問題がひとつある。ほんものの猫ならともかく、なにが哀しくて猫耳つけたおっさんの相手を…。
「ちょっ、その手…いい加減止めてくれない、か…」
頭を捻る間も無意識にペンを持つ手が空中を往復していたようだ。目の前で息を切らした猫耳男が飛び跳ねる姿は、滑稽を通り越して哀れにさえ感じる。
「お願いだ…もう、限界でっ…」
頬を紅潮させ、目も心なしか潤んでいるように見える。そんな男が猫耳を震わせ、息も絶え絶えに懇願してくるのだ。多少心を動かされないではなかったが、今は目的の完遂が先決だと心を鬼にして、ペン先をあちらこちらにと巡らせる。
「嫌なら自分でやめればいいだろう。もっともこのままで困るのはあんただけどな」
「し、かし…っ。これ以上は、無…理…」
「誰のためだと思って――」

あれ?何かこれかなり違うんじゃないかと漸く思い至った時、突然辺りをピンク色の煙が覆い隠した。
当然目の前の男も視界から消える。
「おい、大丈夫かっ!?」
「……」
相手が居るであろう方向に声を掛けるが一向に返事がない。
この、異様な煙といい、何かと不安定な猫耳モードといい放置するには心許なく、無謀とは思いながらも煙幕状態になった部屋を手探りで、先ほどまで確かにいた男を捜した。
程なくして、何かに足を取られ転倒する。やっと晴れてきた視界映ったのは、安らかに寝息を立てている、元猫耳男の姿だった。
その頭には、今やあの憎むべきふさふさの耳はついていない。
本当なら、このひたすらに迷惑を掛けられてきた相手だ、叩き起こせば良かったのだが…。
あまりにも満ち足りたような安らかな顔をして寝こけているのを目にすると、覚醒させるのがしのびなくなってしまった。
仕様がないから上に掛ける毛布なぞを求めて、そっと部屋を抜け出そうと足音を忍ばせ扉まで移動する。

次の瞬間、雨天中止だとかで戻ってきていた合成獣ふたりから一頻り事情を吐かされ、旦那のもの言いたげな視線に付きまとわれ、朝っぱらから疲弊しきる事になるとは、そのときの自分が思い至るはずもなかった。



なんだかいろいろ見失いすぎていたので、リハビリにヨキさん。リハビリどころか更に迷走しておりますが…。
あと、どっかの台詞回しがアレなのはわざとです(笑)。


 

 
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