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日々の萌えと燃えを吐き出す文字どおり世迷言ブログ
 

 

 
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辛抱堪らなくなって、思いっきり殴り書いちゃった某社の夢食べる子達の小話。
一応普通に見える感じに気を付けたつもりだけど、なんか色々だだ漏れな気がするのでこっそり投下しておきます。
メインの親友ズで。誰得すぎて眩暈がしてきた。
 

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久しぶりに帰った我が家は、ひどく居心地が悪かった。見渡す部屋の配置も、壁紙も馴染みの天井のシミさえも変わらないというのに、ここが自分の居場所ではないような気にさえなる。
窓辺に近寄り外を眺めると、この部屋を空けた間もうひとつの寝床となっていた家が道を隔てた先に見えた。
明かりの消えた部屋は、主が既に休んでいることを教えてくれる。
アイツが戻ってきて、元の生活を取り戻したはずだった。しかし、胸の痞えは一向に消える兆しはない。
むしろ、それは益々大きく、重く圧し掛かっている。
…理由は自覚していた。失ったものの甚大さが、この身に安息を許さないのだ。
目の前で消えゆく親友を見送るしかない無力感に苛まれたあの瞬間、どんな手を使ってでも呼び戻してみせるとそう誓ったはずなのに。いや、だからこそエゴに巻き込んだ挙句、仲間を失う結果を招いた己の失態を許すことが出来ないのだ。
次第に焦点の定まらなくなる視界から、昨日までの居場所が掻き消えてゆく。振り切るようにしてその景色から背を向けるとベッドに顔を埋めた。

こつんと、ガラスに何かが当たる音が耳に届いた。
気のせいだろうと決め込んで放置すること暫し、さらにもう一度乾いた音が響く。
偶然だと捨て置くには、明らかに不自然な深夜の奇妙な音。
重い体を引きずって窓から顔を出すと、樋伝いに二階の屋根に辿り着いた見知った顔に出くわす。
それは深い夢の底から戻り果せた親友のものだった。
かつては何度も互いの家を行き来をしたことがあるが、まさか今日この時に現れるとはさすがに思い至らなかった。掛けるべき言葉を失い立ち尽くすのを尻目に、勝手知ったるなんとやらとばかりに相手は、伺いもたてることなくずかずかと上がり込んできた。
昼間に再会を喜んだはずの人物が目の前に居る。当たり前のことだが未だ思考はどこか置いていかれたように巧くは働いてくれそうにない。
「馬鹿、妹置いて何しに来てんだよ」
とっさに浮かんだことを口にしてみる。
「あいつなら大丈夫。今は夢も見ずにぐっすりだ」
それよりも、といい足して親友は此方を真っ直ぐに見据えた。
「お前の方が放っておけない」
予想もしない言葉を投げかけられ、今度こそ思考が停止する。
黙したままの此方へと視線は外さないままに、少し困ったように口元を緩めて親友は続ける。
「悪い。色々と背負わせちまったな」
取り戻した歓喜と亡くしたものへの罪悪感。それらが綯い交ぜになった感情の奔流が、自分から言葉を奪ってしまっていた。それらをどうにかやり過ごそうと頭をめぐらし、そこでようやく開け放たれたままの窓に気付いた。
条件反射的にそれを閉めると部屋の中の方へと移動する。その動きを追いかける視線を背中に感じながら。
このかけがえのない存在をを失ったとき秋を深めつつあった季節は、今や初夏に差し掛かっていた。
改めて長かった不在の時を思い知る。
未だ窓を背に立ち尽くしたままであろう親友の声は続いていた。
「ずっと謝りたかったんだ。お前の考えも知らずに、公園で幼女口説いてるって通報しちまって」
「そっちかよ!!」
勢い良く振り返ると、言葉とは裏腹にひどく真剣な顔があった。しまったと思った時にはその視線に縫いとめられてしまっていて…。はぐらかせない事をいやという程に自覚させられてしまう。
「あの人のこと、妹から聞いた。ごめんな、一番辛い役目をさせてしまった」
「……あれは俺の失態だよ」
吐き捨てるように呟く。どんなに言葉を尽くした所で謝罪にはならないことは熟知している。
人の命と引き換えに出来るほどに崇高なものなんて在るとは思えないから。たとえそれがどんなに大切な存在であったとしても。
責めるどころかリーダーを失ってなおも力を貸してくれた、トレジャーハンターのふたりを思い出し、胸が痛くなる。
もし、俺がコイツを誰かに奪われたとしたら…?ぞくりと背筋を震えが這い上がる。
目を塞いでも、底なしの闇が追いすがって来るような、そんな逃げ場のない恐怖だった。思わず我が身を守るように抱きしめる。

「お前ってさ、メガネ掛けないとすげー無防備だよな」
いつの間にかすぐ横まで迫っていた親友は、先程の切迫したやり取りから一変、がらりと調子を変えて、感嘆したような声音で言った。
次の瞬間には、急に頭を引き寄せられバランスを崩される。
突然のことに足を踏みしめる余裕もなく、あえなく額を強かに目の前の肩にぶつけてしまった。
「こんなのいくらでも貸してやるから、存分に泣け」
「ばかやろ、そんなんじゃ…」
「なになに、胸の方がいいってか?」
「……いらね。そこはあの子に空けといてやれよ」
強がって見せても、込み上げるものはもはや止められそうに無かった。
みっともないとか、女々しいとか、そんな気持ちを全てかなぐりすてて、親友の肩にすがって馬鹿みたいにしゃくりあげていた。
そんな情けない姿を目にしても、親友は呆れずに傍にいてくれた。時折背中に触れてくる体温がひどく心地よい。
「ありがとう。お前が諦めずにいてくれたから、俺ここに居られるんだ」
そっと耳元に吹き込まれた言葉は、どんな強力な魔法よりも強く、この先も自分の心を捕らえて離さないだろう、とそう思わせるほどの強さを秘めていた。




本当は、主人公が戻った後もあの子は自分の家には帰っていないんだろうけれども、一晩くらい一人で泣きたい夜もあったのかなぁという妄想。
きしむしが好きです。作者さんのコンビを想定したキャラ布陣にすっかひっかかってしまいました。

 

 
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