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日々の萌えと燃えを吐き出す文字どおり世迷言ブログ
 

 

 
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そういえば、2月は一度も小話投下していなかったことを思い出しました。これはひどいうっかりだ――ということで、久しぶりに投下してみます。
チョコの日とは一切関係のない、乾きものですがとりあえず…。
 

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それ程多弁な男では無かった。
少なくとも、同行者たちの中では口数が多い方では無い。問われたことに対しては懇切丁寧に返すが、それ以上は踏み込まない――そんな印象だった。
その男が、二人で旅をするようになってから格段に話すことが増えた。
理由は簡単に想像がつく。輪をかけて語らない人間が同道しているからだろう。この男なりの気遣いに違いない。
男の話す内容は多岐に渡っていた。解読をした錬金術のことは勿論として、男がかつて身を潜めていた村のこと。
それから、邂逅を果たす直前迄の出来事に、かの戦いのことまでも。
それらは恐らくこの男にとっては思い出すことすら苦痛を伴うものであっただろう。
それを敢えて伝えようとするのは、或いは此れから向かう先で否応無く対峙することになるであろう、逃れ様のないかの男の業のせいやも知れない。

今宵の宿として選んだ場所は、荒野の果て、岩肌を背にした砂上だった。
遮蔽物があるとはいえ、吹き抜ける強風は容赦なく体温を奪って行く。
日中集めた枯れ枝を火に投じ、唯一の暖となる火種の維持に努めた。
「……」
ふと、いつの間にか隣から聞こえていた声が途切れていることに気付いた。
ぎくりと心臓が嫌な音を立てて跳ね上がる。
首を横に振り向けようとした刹那、肩に柔らかな感触が当たった。
見ると、傾いだ男の頭が其処に留まっている。
吐き出される呼気が緩やかな眠りの中のそれであることを確認し、漸く安堵の吐息をついた。

まるで事切れるが如く意識を飛ばすという状態は、男の疲労の大きさを物語っている。
これまでの険しい道程も然ることながら、この先に待ち受ける背負う罪との対峙も、精神に大きな負担を掛けていることだろう。

激しく揺れる小さな篝火の先に目を凝らす。そこは深い闇に沈んでおり、視認出来るものは何一つ無かった。
かの地にへ至る道は、未だ半ばである。
其処に到達したところで何かを得られる訳では無い。
しかし、それでも歩みを止めないのは、その先に何かを見出ださんとするこの男の強い意思の表れだろう。
凪ぎ始めた風に煽られていた炎が緩やかに立ち上がる。
傍らの枯れ木を一枝放り、そして相変わらず肩にもたれ掛かる確かな重みと温もりを静かに感じていた。



かの地に向かう最中の傷の人とドクターでした。
甘い話のシチュエーション提供所で「いつの間にか肩に頭を預けて眠る」って出たので、それでいこう!と思ったのに、甘さどころかくっついてもいないってどういうことかと…orz
でも、久しぶりに原作ベースで投下できたので後悔はしない。
残念仕様なのは申し訳ない限りです。



 

 
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