管理画面
日々の萌えと燃えを吐き出す文字どおり世迷言ブログ
 

 

 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 

 

 

 

 
タイトルのとおりです。
ギリギリもいいとこですが、昨日の舌の根も乾かないうちにのり←かずクリスマス小話を上げてみる。
キャラ崩壊甚大すぎてアレですが、脳内カズキはこういう仕様なのでと開き直ってみる。

それにしても、ガレイのイメージソング集良いですねー。
BGMにずっと垂れ流してました。
まぁ、タイトルがちょっと人を選ぶ感じなんですが(笑)。 

more



頼まれた資料を受け取り、その足で室長室に向かった。
扉の向こうからはいつもの笑顔と、そしてどこか冷めたような視線に迎えられる。
神宮寺室長と秘書の二階堂桐だ。
「これ、貰って来ました」
小脇に抱えていた、分厚い封筒を渡す。
「カズちゃんご苦労様。今日はもう上がっていいわよ」
相変わらず笑顔を浮かべたまま、室長は言った。
冬の最中だが、まだ日の高い、そんな時刻だった。
一人だけ早退するのもなんとなく気がひける。
「今日はね、黄泉ちゃんたちにも放課後はお休みって伝えてあるのよ。
ここの所、霊力分布も落ち着いてるし、それに今日はクリスマスイヴでしょう?」
遠慮しなくてもいいのよと背中を押され、素直に頷いた。
「それじゃ、お言葉に甘えて失礼します」
頭を下げたあと、ふと気になったことを尋ねてみる。
「室長は、このあと予定とかあるんすか?」
俺の言葉にその笑みがいっそう深くなる。
「そうねぇ、あるといえばあるかも知れないわね」
意味深な返事に首をかしげる。
何気なく後ろに控えた秘書に視線を向けると、目が合った瞬間逸らされてしまった。
ああ、室長の言う予定は彼女とのことなんだと悟る。
きっと、この二人は誰もいなくなった対策室で一緒にすごすことになるのだ。
名目上は「取り寄せた資料の分析」、なのだろうが。
何にせよ邪魔をする訳にはいかない。
今度こそきびすを返して部屋を後にした。

とはいえ、暇をもらったところで何も予定などなく、外に出たとたん降って湧いた時間に当惑してしまう。
ぼんやりめぐらす思考の中に、親友の端正な顔が浮かんだが、すぐにその考えを振り払った。
さすがに、今日のこの日に「彼女」からアイツを取るわけにはいかない。
きっと今頃どこかで二人、待ち合わせでもしているのだろうから。
ため息をつき、もと来た道を引き返す。
どこかにあてがある訳ではなかった。
ただ、なんとなくあの二人には会いたくなくて、ひたすらに繁華街から外れたほうへと歩を進める。
すれ違う人影に良く似た姿を見つけてはつい振り返る、そんなことをしばしば繰り返しながら、黙々と歩き続けた。
いつもなら願ってもない平和さが、なんだか今日はひどく心を空虚にさせてゆく。
気がつくといつの間にかさびれた公園に出ていた。
何時振りだろうか。久しく乗っていなかったブランコに腰掛ける。
静寂の中、金属の軋む音だけが逢魔が時の空に響いた。
頬に触れる冷たい感触にふと視線を上げると、大粒の雪が静かに舞い降りてきた。
みっしりしたボタン雪は、瞬く間にあたりを白く覆ってゆく。
この胸に抱えるどうしようもない気持ちも、一緒に消してくれればいいのにと、切に願った。
身体は芯まで冷え切っていたが、薄ぼんやりとした街灯の下のまっさらな雪が、愛おしいほどに綺麗で、ずっとそこを動けないでいた。

どれほどそうしていただろうか、雪と見まごうほどの白い生き物が、不意に視界を横切った。
この暗さでは見失ってしまいそうなそれをはっきり認識できたのは、それがこの世の理から外れた存在だったからだ。
通り過ぎたかに見えたそれは再び俺の目の前に現れる。
白い、小さな狐。
霊力によって形作られたそれを使役する人間を、俺は良く知っていた。
…紀之。
唇の中でその名前をつぶやく。
管狐がここに居るという事は、きっとアイツも――。
程なくして、エンジン音が響きバイクに跨った親友が姿を現した。
公園の端に愛車を止め、こちらに向かって歩いてくる。
その足元に、擦り寄るように管狐が纏わりついた。
「この馬鹿、即身仏にでもなるつもりか?」
言葉こそ嫌味をまとっていたが、その声には怒気は全くなかった。
目の前まで来ると、いまだブランコに腰掛けたままの俺を見下ろす。
ため息混じりに手を伸ばし、無造作に、頭に降り積もっているであろう雪を払いのけてゆく。
「イヴに予定が無いからって不貞腐れるな」
「…別にそんなんじゃねーよ」
もういいからとその手を制し、立ち上がって服に積もった雪を落としてゆく。
「そんなことより、てめーは何でこんなところにいるんだよ」
雪を払うのを口実に視線は合わせないまま、問いかける。
「ああ。あいつは愛しの妹御と家族水入らずでパーティらしい」
「だっせ、振られてやんの」
「うるせー」
寒さで強張っていた表情筋がようやく戻ってきたようだ。
何とか笑顔を作ることに成功したことにひそかに安堵していると、「お前、せめて携帯の電源は入れとけ」
ついでのようにポツリと落とされた一言にハッとさせられる。
そう言われて初めて、資料室を訪れた際に電源を切ったままになっていたことに気付く。
ポケットを探ると、はたして沈黙をたもつ携帯電話が出てきた。
そして、何気なく投げかけられた親友の言葉に真実を悟る。
コイツが先ほど俺に告げたことは偽りなのだと。
多分、今日は許婚との約束があったのだろう。
全くどっちが馬鹿なんだか。裏を返せばそれがこの二人の信頼でもあるのだろうが。
何にせよ、消息を絶った親友を捜しに来てくれたこいつの友情は疑うべくも無いのだから。
一体それ以上俺は何を望むというのだろう?

「一騎」
不意に名前を呼ばれ顔を上げると、額にこつんと硬いものが当たる。
手を伸ばすと、それはまだ暖かい缶コーヒーで。
「寂しい一騎君に親友からのクリスマスプレゼントだ」
「おー、暖まるぅー」
おどけた振りをしながら、それをきつく胸に抱きこんだ。
鼻の奥のほうがツンとして、慌てて雪を拭うふりをして誤魔化した。
「さてと。それじゃあ帰るか」
促すようにかけられた声に、素直に頷く。
と、その時、紀之の携帯が鳴った。タイミングからして着信相手は聞かなくても判る。
「もしもし。野暮用?…ああ、もういいんだ……ちょっ、待て!もしもし、もっ…」
携帯を手に立ち尽くす親友にニヤリと笑いかけてやる。
「で、モテモテの紀之君。イヴのご予定は?」
がくりと肩を落とすその姿には、先程までの余裕はどこにも無く。
「一騎、ダーツ行くぞダーツ」
「はいはい、お優しい親友殿の仰せのままに」
半ばやけくそのように喚く相手に、仕方なくという姿勢は崩さずに従った。
こうして隣りに居られる瞬間が、何よりも最高のプレゼントだと思いながら。

 

 
Copyright © 2017 よまいごと, all rights reserved.
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。