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日々の萌えと燃えを吐き出す文字どおり世迷言ブログ
 

 

 
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突然ですが、がれいでのりかず小話。
というか、のり→←かず。相互片思い。
この二人はどんなに頑張ってもらぶいちゃ出来ないだろうなぁという気持ちで書きました。
でも、そんな切ない友達以上恋人未満の二人が好きです。 

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「人の話、聴いているか?」
こちらを覗き込んでくる親友は、予期していたよりもいく分幼さの残る面差しをしていて。
ややして、それが出会ったころの姿なのだと思い至った。
自分には当たり前に見える存在を周りの誰からも理解してもらえなくて、何が足りないというわけでもなかったけれど、どこか満たされなかった思春期の日々。
そのうすい被膜に覆われたような日常から連れ出してくれたのが、仕事仲間であり親友でもあるこいつだった。
「お前、さっきからおかしいぞ」
どうかしたのかと、秀麗な眉をひそめて更にこちらに身を乗り出してくる親友に、「なんでもねーよ」と言い捨てて顔を逸らす。
「だいたい、他人ののろけなんぞ聞いて楽しいもんじゃねーしな」
うんざりだとため息を吐くと、「違うんだ」と珍しく言い募ってくる。
普段どちらかというと淡白なコイツには珍しい反応だった。
だからといって聞いてやる義理はない。
「違いやしねーよ。顔よしスタイルよし性格よしの結婚相手とくれば何の文句もないだろ?」
「確かに彼女に不満はないな…」
「お前なぁ」
座っていた椅子からずり落ちそうなほどの脱力感に襲われたが、何とか持ちこたえた。
「そんないい子が許婚とは、お前は大した幸せ者だよな!」
もうこの話題は終わったとばかりに、勢いよく席を立つ。
「…そんな単純な話でもないんだけどな」
ひどく自嘲的な語り口に、思わずその場に佇んでしまう己の人の良さを呪った。
「これからのことなんて分かりやしないのに、未来にレールが敷かれてるっていうのも結構なプレッシャーなんだぜ?」
冗談めかして言うが、その瞳は笑ってはいなかった。何も答えられずにいると、親友は言葉を続ける。
「もしかしたら、あいつよりも大切に思える存在ができるかもしれない」
「…居るのか、そーいう奴?」
穏やかだがどこか諦観を孕んで見えるその横顔に、つい頭を掠めた疑問を投げかけてしまう。
「あくまで仮定の話だよ」
はぐらかす様に答えた後、見上げる形になっていた視線をひたと此方の目線に合わせてくる。
今度はほんの少しだけ上に来たその瞳に、ほんの僅かでも、ありえない可能性を想起してしまった自分の浅はかさを見透かされているようで、居たたまれなくなる。
「一騎」
こういう瞬間に、脈絡なく名前を呼ぶのは反則だと思う。
案の定、その一言で身動きができない。
「でも、そうだな…もしも、そういう奴が出来たとしたら、傍にいてやりたいと思う。許される限り、ずっと」
そう言葉を結んだ親友の表情には、かなしいほどに揺るぎがなくて。
お前が誰かにそう思うのと同じくらいに、オレも許される限りお前の傍にいたいと、つよく、祈るようにつよく思った。
親友として。それ以外は決して何も望まないから。



「人に運転させといて自分は隣で爆睡とはいい度胸だな」
心地よい揺れに身を任せて、どうやら夢の世界を彷徨っていたらしい。
急に意識を引き戻される感覚に、慌てて目を開けば、馴染んだ親友の顔が覗き込んでくる。
「しょーがねーじゃん。オレ、出来ねーし」
ハンドルに凭れかかった親友は、呆れたようにため息をついた。
「かっわいくねーな。せめて態度だけでも殊勝にする気はないのか?」
「おっ、紀之君!信号が青ですぜ」
なおも何か言いたげではあったが、やむなく運転を再開する親友を横から眺める。
いつか、遠くない未来にこの場所を明け渡さなくてはならないことは知っている。
だから、そのときが来るまでは秘密にしておこうと、ポケットに忍ばせた運転免許証をそっと指で確かめた。
そう、コイツがそれを許してくれる限りは。

 

 
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