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日々の萌えと燃えを吐き出す文字どおり世迷言ブログ
 

 

 
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唐突ですが、殲滅戦ノックスさん独白をば。
作業の気晴らしに、アニメでこの辺りやってたときに書き始めたものを今更ながらに仕上げてみました。
あの場面削られたのはちょっと残念だったので…ものすごく今更感が漂ったネタですみません。
 

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無機質なコンクリートの壁の内部は、さながら阿鼻叫喚地獄といったところか。これが政府の研究施設とは笑わせてくれる。
この惨劇のもたらすものが、その犠牲と果たして釣り合うものなのか。たとえそうであったとしても、人間はこれ程までに他者に残酷になれるものだろうかと。
その疑問はそのまま己に突き付けられる。癒し手と謳いながら、ひとの命を弄ぶ己の姿に。
一刻たりとも記憶から離れることのない数々の惨状に、正気を保っているのかも判らなくなる。
隣で業火を操る青年を見やる。照り返しを受けたその貌には一切の表情はなかった。
かつては希望を持ってこの戦いに志願したのだろうが、今や濁った瞳を持つ、憔悴した将校と変わり果てている。
不意にその青年がごく近しい者と重なった。もし、家に残してきた大切な存在が、この地に降り立つことがあるとしたら。
耐え難い絶望に胃の腑にせり上がる激しい嘔吐感。
未だ虚ろな表情で燃え盛る炎を見つめる共犯者に断りを入れ、青ざめきった顔を隠して外へ出た。
建物に遮られてでさえも、どこまでも追いすがるかのように耳に届く苦悶と怨嗟の声。再びこみ上げる吐瀉物を押し込むように深く煙を吸い込んだ。
煙草は一般兵士には回らない嗜好品だ。与えられたのは己の技能がもたらした特権。この苦しみを味わうために望んだわけでは決してない。
壊れて倒れれば自分の代わりなぞごまんといる。研究会で顔を合わせる同業のものたちを思い浮かべて、ここにいるのが自分で良かったと思う。彼らは明るい未来だけを見ればいい。
ふと紫煙の向こうに、見知った顔を見つけた。医療錬金術の大家と言われた男だ。一介の医者である自分が関わることはないと思っていた、その医療界の希望がそこにいた。
虚ろな視線。覚束ない足取り。正に此処にいる俺と同じだ。
ああこの地はこの先どれ程の絶望を見せるというのだろうか。
砂塵の向こうには白く霞んだ底無しの闇。

 

 
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